第6回世界唎酒師コンクールの日本予選(第2次審査)を目前に控えた9月29日(日)、FBOアカデミー東京校(文京区小石川)にて、「唎酒師フォーラム2024」を開催いたしました。
全国各地(台湾からの参加者も!)から、約100名の唎酒師、焼酎唎酒師が参加。「これからの時代にふさわしい日本酒・焼酎の提供販売のあり方を考える」というテーマへの関心の高さが伺えました。また、第6回世界唎酒師コンクールのエントリー者も多数参加されており、フォーラム(公開討論)では、様々な意見が飛び交い、大いに盛り上がりました。以下に、唎酒師フォーラム2024の内容をご紹介致しますので、是非ご覧下さい(FBO認定会員の皆様は、収録された内容を動画でご覧いただけます)。
文:長田 卓/SSI理事兼研究室長・唎酒師フォーラム2024コーディネーター

「新たな市場開拓の手法を考える~高単価市場開拓の取り組みについて~」

生駒 龍史
株式会社Clear代表取締役CEO
日本酒専門メディア「SAKETIMES」、ラグジュアリー日本酒ブランド「SAKE HUNDRED」を手掛ける、Clear代表取締役CEOである生駒龍史氏が、約4,100億円規模といわれる日本酒市場の中でシェアを奪い合うのではなく、11兆円といわれるGlobal Fine Wines&Spirits Market、さらには、200兆円といわれるGlobal Luxury Marketを開拓する意義や手法などを解説。日本酒は、世界中の富裕層を魅了できる要素が間違いなくあると熱く語る生駒氏に、多くの唎酒師、焼酎唎酒師が共感していました。

 
「自然派と呼ばれる日本酒の価値を考える」

薄井 一樹
株式会社せんきん十一代蔵元
近年、注目度が高まっている自然派と呼ばれる酒類のカテゴリー。まずは、自然派ワインが台頭した背景や自然派ワインの特徴を参加者全員で確認。そして、「江戸返りで、いい景色をつくる」という新たな方針を打ち出した、せんきん十一代蔵元の薄井一樹氏が、「江戸返り。これは後世に残すべき江戸時代の酒造法である生酛を尊重し、守り、進化させながら仙禽流にモダナイズする、酒造りを通じてたどり着いた構想」であること、そして、「自然と、江戸時代の杜氏たちと協力して、日本の酒造りから生まれる“いい景色”を、未来へと繋げていく」と、せんきん流の自然派日本酒について解説。参加者も、唎酒師として、自然派日本酒をどのように捉え、どのように提供すべきかを考える貴重な機会になったと、多くの反響をいただきました。
また、自然派日本酒を代表する2種類の日本酒と、1種類のどぶろくをテイスティング。香味特性をどのように伝えるべきかを考えていただきました。

 
「日本酒の保存管理のあり方を考える」

穂積 亮雄
さくら製作所株式会社代表取締役社長
「ZEROCHILLED」などのセラーを開発する、さくら製作所の穂積亮雄氏が、セラー開発者の視点から、日本酒の保存管理について色々と解説。日本酒は非常に品質が変化(劣化)しやすい酒類の代表であり、他酒類と比較して特有の香味変化をする酒類であること、さらに、「望ましい変化 (熟成)」、「望ましくない変化 (劣化)」に関しては、解釈が様々であり、是非の見解がわかれることを問題点として挙げ、その解決策や、理想の保存温度と、理想の提供温度をどう設定すべきかなども解説いただきました。なお、2024年8月18日に、SSI研究室専属テイスター10名で検証した「保存方法の違いが日本酒の香味に与える影響に関するテイスティング検証」の結果も報告いたしました。

 
「SSIが取組む本格焼酎・泡盛の需要拡大策について」

「本格焼酎・泡盛」の需要拡大のためには、本格焼酎・泡盛の語り部の育成、そして、有効なセールスプロモーション実行者の育成が肝要であることや、SSIが取り組む需要拡大策を紹介。焼酎唎酒師として何をすべきか、自分にできることは何かなどを考える機会としていただきました。

「パネルディスカッション。飲食店における日本酒サービスのあり方を考える」

甲斐 勇樹氏/ジャパンテイスト(サケラボトーキョー)代表取締役
山本 将守氏/純米酒専門YATA(マグネティックフィールド)代表取締役
北原 康行氏/コンラッド東京アシスタントFBマネージャー・第4回世界唎酒師コンクール優勝
自ら飲食店で日本酒のサービスを行うパネリスト3名が、「品揃えのあり方」、「ペアリングのあり方」、「困ったオーダーに対する応対」について、それぞれの考え方や取り組みについて解説。さらには、パネリスト3名が今注目している日本酒3種類のテイスティングも行いました。本テーマに対する参加者の取り組みも伺いながら、100名の唎酒師、焼酎唎酒師と共にディスカッション。特に、困ったオーダーとして取り上げた、「辛口を下さい」については、色々な対応策を参加者で共有し、大いに盛り上がることができました。

 
「ご当地カクテルの取り組み~若い女性の日本酒に対する親和感の向上のために~」

大妻女子大学 家政学部ライフマネジメント学科ライフマネジメント研究室ゼミ生
会場内のバーカウンターに、大妻女子大学家政学部ライフマネジメント学科ライフマネジメント研究室のゼミ生12名が考案した「日本酒ベースのご当地カクテル試飲コーナー」を設けました。また、「若い女性の日本酒に対する親和感の向上のために」をテーマにしたプレゼンテーションも合わせて行って頂きました。テレビ番組2社の収録も行われる中、100名の唎酒師、焼酎唎酒師と交流を図ることができました。

盛況で終了した「唎酒師フォーラム2024」。第6回世界唎酒師コンクール出場者のみならず、全ての唎酒師、焼酎唎酒師が向き合うべき課題を解決するための非常に有意義な機会であったと感じています。今後も、より多くの唎酒師、焼酎唎酒師と討論を行い、今回の主題である「これからの時代にふさわしい日本酒・焼酎の提供販売のあり方を考える」を、深く掘り下げていく所存です。
参加いただいた約100名の唎酒師、焼酎唎酒師の皆様、そして、登壇いただいた講師、パネリストの皆様、本当にありがとうございました。
唎酒師フォーラム2024の詳細は↓
唎酒師フォーラム2024

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