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実はな、江戸時代末期の書物には、夏になると「甘酒売り」が江戸、京都、大坂の市中に出てきて、1杯4文(今で言えば約50円)で甘酒が売られておったと書かれておる。
甘酒というと、奈良時代には冬の飲み物じゃったが、江戸時代には夏の季語になっておる。不思議に思って調べたところ、江戸時代末期の平均寿命は約46歳。人生は短かったんじゃなぁ。
そして、江戸時代には7月、8月、9月の死亡者が際立って多かったのじゃ。当時は食事も質素で体力がなく、夏は蚊や暑さに悩まされたじゃろうから、夏を超すのはかなり厳しかった。だから、老人や病弱者は夏に亡くなることが多かったんじゃろうのぉ。
甘酒の成分を分析してみると、ブドウ糖が20%を軽く超すのに、飲み続けても血糖値は上がらず、中性脂肪は減少するんじゃ。その上、麹菌の作用で米のタンパク質が必須アミノ酸となって豊富に含まれておる。
しかも、じゃ! ビタミン類も豊富に含まれてもおる。つまりは、甘酒は江戸時代の「必須アミノ酸強化飲料」でもあり、「総合ビタミンドリンク」でもあったという訳じゃ。江戸時代の庶民は、「甘酒」が手ごろな値段で「夏バテに効く」ということを経験的に知っておったんじゃなぁ。
病院で点滴に使う輸液の成分は、まさに甘酒の構成成分そのものなんじゃ。甘酒が「飲む点滴」と言われるゆえんじゃ。最近の研究では疲労回復や便秘への効果も確認されておるぞよ。
【参考】『酒に謎あり』(日経ビジネス人文庫)、酒類飲料日報2017年6/30付
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