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いよいよ夏本番。全国各地で夏祭りが賑わう季節の到来じゃな。青森ねぶた祭、秋田竿燈祭、山形花笠祭、仙台七夕祭、徳島阿波踊り、高知よさこい祭など、全国各地で賑やかな祭りが開催されるぞ。残念ながら今年はコロナ禍で、ほとんどが中止や延期になっているが、大切な祭りの存在を忘れる訳にはいかん。祭りは、酒との関連が深い日本文化の象徴じゃからな。こんな時だからこそ「祭り酒」が持っておる深ーい意味を知ろうぞ。
祭りは稲作農耕文化と深い関わり合いを持っておる。稲を植える前には、田の神を里に迎え豊穣を祈願したり、収穫後には感謝を込めて神を山に送った儀式が祭りの原型なのじゃ。
この際に米から醸した酒を神に供えていたのじゃよ。神に供えた後は人々が飲む訳じゃが、これは酔うという感覚が、神と人を結びつけると考えていたからなのじゃ。また、人々が共に酒を飲むことで一体感を高めることも目的としておった。一つの甕(かめ)の酒を神の前で分かち合うことで、仲間との結束を高めておった訳じゃな。現在行われる祭りでも、神にお神酒(みき)を供え、お神輿(みこし)の前などで酒を酌み交わすのは、こうした文化を伝承しているからなのじゃよ。
ほとんどの祭りが中止や延期になっている時だからこそ、「祭り酒」のような伝統文化を多くの人々が知るべきと思うのじゃ。コロナ禍で途切れさせる訳にはいかんからのぉ。先祖達も神に祈り、そして仲間との結束を高めながら苦しい局面を何度も乗り越えてきておる。
それを見習い、この難局を乗り切っていきたいものじゃな。そして、神の霊力が宿る酒は、災いを祓う力があると信じられてきたぞ。このような酒こそ、今飲むべき酒と思うのじゃ。
<参考文献>小泉武夫監修【2000年】『日本酒百味百題』柴田書店【注意事項】・記事、データ等の著作権その他一切の権利はNPO法人FBOに帰属します。・記事・データ等は予告なく変更する場合がありますのでご了承ください