実を蓄え始めた稲穂や、飛び交うトンボを見かけるなど、徐々に秋めいてきたのぉ。
今回は、旬の「ひやおろし」の起源を紹介するぞい!
秋が旬の「ひやおろし」
「ひやおろし」とは、冬場に造られた日本酒を春、夏を越えて熟成させてから、秋口に出荷する日本酒なのじゃ。通常は火入れ(低温加熱殺菌)を2回するのが日本酒の基本的な製法なのじゃが、「ひやおろし」は貯蔵する前の1回のみ行う場合が多い。これは「生詰め」と言われておるぞ。なお、「ひや」=「冷や」、「おろし」=「出荷する」が語源とされておる。

江戸時代から現代へ続く「ひやおろし」文化
「ひやおろし」は江戸時代が起源となる。当時は保存性の問題で広く流通できなかったため、酒蔵の近くに住む人しか飲めない貴重品だったのじゃ。さらに、灘の宮水(硬水)で仕込んだ純米酒に熟成期間を設けることで飲み口を柔らかに変化させておったのじゃ。なお、戦前の兵庫県灘地方で生産される純米酒に多い呼称でもあったぞい。全国的に人気となったのは、今から約30年前に卸売業を営む株式会社岡永(日本名門酒会/SSIの賛助会員)が、秋の限定品として展開したことがきっかけじゃったな。
皆の衆も、秋ならではの楽しみである日本酒「ひやおろし」の起源を多くの人に伝えてやっておくれ。
【参考】
『新訂 日本酒の基』(NPO法人FBO) 株式会社岡永ホームページ https://www.meimonshu.jp/
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