テイスティングに挑戦

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テイスティングとは?

テイスティングは、行う人の立場によって目的が異なります。
例えば、杜氏・蔵人ならば品質の状態や出荷時期などの見極めが目的ですが、飲食店や酒販店の唎酒師なら、お客様にどう説明するかまた美味しい飲み方の提案を考えることが目的となります。
一般消費者なら、自身の好みに合うかの判定、この味でこの価格だと購入するかどうかの判定が目的になるでしょう。

テイスティングの注意点

テイスティングは、まず万全の体調で臨むことが大切です。テイスティングの前にタバコや匂いの強いものの摂取は厳禁です。また、香りの強い化粧品や香水の使用も控えましょう。数種類のテイスティングを行う場合、水を飲みながら行います(ちなみに、唎酒師などは、必ず吐き出します)。香りを嗅ぎ続けたり、過剰な数をテイスティングすると、嗅覚や味覚が麻痺するのでご注意を。

次に暑すぎず、寒すぎない20℃前後がベスト。日本酒自体の温度は香味の特徴が一番わかりやすい15〜18℃で行います。器は、蛇の目の唎猪口がよく使われますが、香りを重視するなら、ワイングラスを選ぶと良いでしょう。

テイスティング能力の向上には、数をこなすことです。自分の感じたことを口に出したり、書き留めるクセをつけるとともに、周りの人との意見交換を行うなど、人がどう感じているかを意識することが肝要です。

テイスティングの手法

「日本酒のテイスティングでは、外観、香り、味わいの3項目をチェックします。何も難しいことはありません。日本酒をより美味しく、より楽しむために行うわけですから、気軽にリラックスした状態で行ってみましょう。

●外観
液体の色や状態がよく見えるように、白い布や白い紙の上で確認します。慣れてくれば、外観の特徴から熟成度合や濾過度合などもわかるようになりますが、まずはどんな酒器に注ぐと色調が映えるのかを考えてみてください。
【チェックポイント】
何色か? 
無色透明、やや無色透明、淡い黄色、黄色、淡い茶色、茶色、琥珀色など

●香り
香りの特徴を的確に捉えるために、下記の表現例を活用してみましょう。例えば甘味を思わせる香りであれば、より具体的にどんな食品に近いかを表の中から選択してみてください(もちろん表にない食品類でもOK)。
そのうえで、香りのコメントとしてまとめましょう。基本的に、日本酒の香りは「酵母に由来するフルーツや花のような吟醸香」「原料の米や米麹に由来する原料香」「時間の経過とともに生じる熟成香」に大別できます。
また、香りを確認する際にグラスを回して空気を取り込み、揮発性を高める手法があり、これは「スワリング」と呼ばれます。
【チェックポイント①】
どんな食品類に例えられるか? 
【チェックポイント②】
香りの特徴を端的に表現すると?

●味わい
口に含む量はティースプーン1杯(5cc)程度で十分。まずは飲み口(食感またはテクスチャー)を確認します。
次に、日本酒を舌の上にのせて、旨味成分を感じます。旨味成分が多い場合は濃醇、少ない場合は淡麗などと表現すると良いでしょう。それから甘味、酸味、苦味などが感じられるかを確認します。
さらに、甘口・辛口の判定は、最後に残るビリビリとしたアルコールの刺激の強弱、酸味や苦味の影響などもあるので、総合的に判断すると良いでしょう。
最後に、鼻から息を抜いて、含み香(アフターフレーバー)という、戻ってくる香りをチェックしてみてください。
【チェックポイント①】
飲み口(食感またはテクスチャー)の特徴は?  ※やわらかい、キメ細かい、なめらか、スムーズ、厚みのある、まったりしたなど
【チェックポイント②】
旨味を中心とした味わいの特徴は?
※淡麗(ライトボディ)、濃醇(フルボディ)など

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テイスティングが終わったら、左記の4タイプの判断基準をもとに、どれに該当するかを考えます。
●薫酒の判定基準…… 果物や花のようなフルーティーな香りがすること。
●爽酒の判定基準…… 香り、味わいともに要素も少なく、シンプルであること。
●醇酒の判定基準…… 原料の米、米麹に由来する香りが強く、旨味成分が多いこと。
●熟酒の判定基準…… 黄色や茶色の色調を持ち、熟成香が強く、凝縮感の高い味わいであること。

テイスティングした日本酒の基本情報と共に、各ポイントに対するコメント、判定したタイプなどをきちんと書き留めておきましょう。それをくり返すうちにテイスティング能力が上がり、テイスティングデータも蓄積されていきます。

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