あ行

熟成されてまろやかになった秋の風物詩 春先に出来上がった日本酒を火入れ後一夏寝かせ、日本酒の温度と外気の気温が同じくらいになる9 月頃に、火入れをせずに出荷されるものが冷やおろしと呼ばれます。冷や(=生)のまま、卸す(=出荷する)が語源になっています。別名秋あがりとも呼ばれ、熟成された深い香味が特徴になります。昔の日本酒のほとんどは、このように半年間ほど熟成させて、秋口に出荷することが一般的でした。現在では9 月後半から10 月に出荷される季節限定商品として販売されています。冷おろしとも言われる。

米を使用した甘い飲み物。甘酒は、平安時代より冬の飲み物として親しまれてきましたが、江戸時代より、夏バテ予防になると夏の飲み物になりました。江戸末期の文献には「夏になると甘酒売りが出まわった」とあり、今日では夏の季語になっています。甘酒には麹の働きで生まれたブドウ糖や、アミノ酸などの成分をバランスよく含んでおり、栄養補給飲料として近年また注目されています。

希少価値の高い一番搾り搾る際、最初に出てくる液体をあらばしりと呼びます。プレスをしないで、酒袋の重みだけで自然に出てくる部分になります。香気成分が高く、少量しか取れないため高価なものが多くなります。初取りとも言われる。

白米を液化して仕込む近代技術 通常、蒸米(白米)は固体の状態で仕込まれますが、白米を液状化にして仕込む方法を液化仕込みと呼びます。仕込水とともに白米をミキサーで細かく破砕し、乳白状の液状化にしてから仕込みます。液化造りの特徴は、酵素剤を添加し(麹を使わない日本酒造りといわれます)、加温、撹拌、破砕を行います。低コストで製造できることがメリットとなります。融米造りとも言われる。

会計年度の呼称 (Fiscal Year の略) 公共機関(中央政府・地方政府・地方自治体)の収入及び支出を整理分類し、その状況を明らかとするために設けられた一定期間(年度の一種)です。単に年度と略称されることもあります。2008 年4 月より適用され、酒造業界でも使用されるようになりました。

酒造好適米のひとつで、1921(大正10)年に岡山試験農場がそれまで100年以上、岡山県で栽培されている品種から優良品種を再選抜し誕生。「山田錦」「五百万石」の先祖種に当たるほか、現存する酒造好適米のおおよそ3分の2は、雄町の系統を引き継ぐといわれている。高精白には向かず、軟質で溶けやすいため濃醇な香味になりやすいとされている。

旨味が補強されており、ワインでいえばシュール・リーにあたります タンクの底に沈んだ滓の部分を絡めて商品化したものを滓がらみ(かすみ酒、滓酒)といいます。滓とは、主に酵母の残骸などで旨味(アミノ酸)を生み出すので、通常の日本酒より、旨味成分が多いタイプになります。ほんの少し滓を絡めたものと、タンクの底に残った滓の多い部分をしっかり残したタイプがあります。通好みの希少価値の高い商品といえます。

か行

日本酒のイメージを一新する発泡酒タイプ 製造用語では「活性清酒」や「発泡性清酒」、通称はスパークリングタイプとも呼ばれる近年人気の高いジャンルで、酒税法上では「醸造酒類」、品目では「清酒」に属します。シャンパン同様瓶内二次発酵方式でアルコール度数が高いもの(開栓時に注意が必要)、同じく瓶内二次発酵方式でもアルコール度数が低くうすにごり状態で甘口に仕上げたもの、炭酸ガスを注入するものなどがあります。また生酒の新酒などで微発泡性のものがありますが、このジャンルには属しません。発泡性清酒とも言われる。

古来行われていた麹米用に玄米を使う製法 平安時代から江戸時代にかけて主流だった米の使い方で、掛米には精白した米を用い、麹米には精米していない玄米を用いました。片方だけに白米を用いることから命名されました(この片白に対して、掛米も麹米も精白した米を使用した手法は諸白(もろはく)と呼ばれます)。

使用米の80%を占める 掛米は麹米掛米(かけまい) 使用米の80%を占める 掛米は麹米と対になる言葉で、酒母やもろみ造りに使用される原料米のことです。全体の約80%を占める量になります(麹米が全体の約20%を占めます)。

複雑な味わいを醸す伝統の酒造器具 昭和初期にホーロータンクが開発されるまで、日本酒の仕込みはすべて木製の桶で行われていました。木の色が着色しやすい、空気に触れやすい、液体が漏れやすいとリスクが高いので現在ではほとんど使用されなくなりましたが、独特の香気を生み出すと、個性化のために木桶仕込みを復活させる蔵元も増えてきています。

日本酒を日本酒で仕込む濃醇タイプの高級酒 仕込水の代わりに、一部日本酒で仕込んだタイプを貴醸酒と呼びます。一般的に、三段仕込みの最終段階である留添えの際、水の代わりに日本酒を入れて造られます。濃醇な甘味と、琥珀色をした色調が特徴になります。デザートに合わせる日本酒として提供されることもあります。

最も伝統的な日本酒製造の手法 自然界の乳酸菌の力で雑菌を排し、酵母を育成した昔ながらの酒母造りの手法であることと、山卸し(酛摺り(もとすり)と呼ばれる米を摺り潰す作業が行われたタイプのことです。明治時代以前は、ほとんどの酒母造りで行われていた工程でしたが、今では1%程度しか現存していません。非常に深いテイストで、燗酒などに向くとして復活しつつあります。

並行複発酵ならではの高いアルコール度数が持ち味日本酒は通常、加水をして香味やアルコール度数を調整しますが、一切の水を加えな いタイプを原酒といいます。アルコール度数は20%前後もあり、しっかりとした深いテイストになります。オンザロックにして薦められる日本酒でもあります。

高温で仕込むことでコストを抑える最新技術 高温で必要のない微生物を除去してから酵母を添加する手法です。時間短縮を計れるとともに、安全に醸造を行えるので、比較的温暖な地方で行われています。

大正7年の米騒動から生まれた日本酒風味のリキュール アルコールや焼酎、清酒に、糖類、有機酸類、アミノ酸類などの調味料、食塩、グリセリン、色素などさまざまな物を混合して製造された日本酒に似たリキュールのことです。大正7 年の米騒動により、米価が沸騰した時に開発された商品です。清酒という言葉が使用されていても、醸造酒である日本酒とは全く別のカテゴリーになります。

江戸時代頃から酒造業が盛んとなった京都市伏見区は地下水を指す。この地は、地下水が豊富な場所であり、水質は軟水傾向にあります。これにより、伏見で作られる日本酒は甘口となる傾向があることから「灘の男酒」に対して「伏見の女酒」と称されました。伏見地区の地下水の中でも御香宮神社の境内より湧き出た水は「御香水」と呼ばれ、この御香水が湧く6つの井戸があります。

熟成させることで発揮する日本酒の真価 製造業界では、今年度に造られた日本酒を新酒というのに対し、前年度造られた酒を古酒と呼びます。古酒表示には明確な規定がありませんが、3 年、5 年あるいは10 年、15 年と長期に渡る熟成酒に注目が集まっています。長い熟成を経たタイプは、琥珀色の色調と複雑な熟成香が特徴になります。日本酒の中でも最も高価なタイプに入る商品です。長期熟成酒とも言われる。

全体の20%を占め、最も高品質の米が使用される 麹米は掛米と対になる言葉で、文字通り麹造りに使用される原料米のことです。全体の約20%を占める量になります(掛米が全体の約80%を占めます)。掛米は通常の米を使用しても、麹米だけは酒造好適米を使用するなど、蔵元が品質にこだわる米になります。

酒造好適米のひとつで「山田錦」にその座を奪われるまで(2001年)は作付面積1位であった。誕生は1938(昭和13)年、1957(昭和32)年に新潟県産米の生産量が五百万石(約75万トン)を突破したことを記念して命名される。心白が大きいため、高精白が難しく吟醸酒には不向きであるが、その性質から麹が造りやすいと造り手から評価される。酒質は相対的に軽快な香味になりやすいとされている。

さ行

日本酒に使用される米には「酒造好適米」のほか、私たちが日常食べる米も使用され、それらは「飯用一般米(または飯米、一般米)」と呼ばれる。これら、日本酒の原料として使用される米を総称して「酒米」と呼ぶことがある。

日本酒造りにおいて、器具の洗浄、ボイラー用水などに使用される水を指します。

(平成18 年酒税改正で二倍増醸酒という名称に。三倍増醸酒は現在は存在しません)。 戦後の米不足時に生み出された増量のための手法 戦後の米不足の際に考案された日本酒の醸造方法の1つです。米と米麹で造ったもろみに日本酒と同濃度に水で希釈した醸造アルコールを入れ、味わいが薄まった分、糖類(ブドウ糖・水あめ)、酸味料(乳酸・コハク酸など)、グルタミン酸ソーダなどを添加して造られます。こうしてできた酒は約3 倍に増量されているため、三倍増醸酒、略称で三増酒(さんぞうしゅ)と呼ばれました。三倍増醸酒は、そのままの状態で出荷されることはなく、アルコールを添加した日本酒などとブレンドされて製品化されます。但し、これは戦争の影響により生み出された手法ということを忘れてはいけません。

「仕込用水」とも言われ、蒸米、麹と共に仕込みに使用される水を指します。

「仕込み水」とも言われ、蒸米、麹と共に仕込みに使用される水を指します。

出来上がったばかりの日本酒ヌーヴォー 一般的には、秋の終わり頃から日本酒造りは始まりますが、出来上がったばかりの日本酒を新酒やしぼりたてと呼びます。新酒ならではの新鮮な風味が持ち味です。また製造業界では7 月~翌年6 月で区分される製造年度(BY=Brewer Year)で、製造年度内に出荷されたものを新酒と位置付けます。

日本酒造りに適した「大粒である(千粒重25~30g)」「適切な形状の心白がある」「タンパク質、脂質がすくない」「吸水率がよい」といった要素を持ち、農産物検査法で規程された醸造用玄米の通称。代表的な酒造好適米には「山田錦」「五百万石」「美山錦」「雄町」などがある。

日本酒造りに使われる全ての水(醸造用水、瓶詰用水)を指します。

日本酒造りに使われる水のうち、「洗米・浸漬用水」「仕込用水」「雑用用水」を指します。

精米をして残った米の割合のこと 米を磨いて残った割合を%で表したもの。逆に、削った部分を表すのは精白率と呼びます。精米歩合40%と、精白率60%は同じ割合を表しています。

技術向上のために開催された日本酒のコンテスト ラベルに金賞受賞などと表記されている場合があります。これは独立行政法人酒類総合研究所が主催する全国新酒鑑評会の審査で優秀な成績を修めた出品酒に与えられる賞のことです。これは独立行政法人酒類総合研究所の前身の国立醸造試験所が1904(明治37)年に設立され、1911(明治44)年に開催された第1 回全国新酒鑑評会が起源になります。当時は日本酒の品質向上のために全国各地の蔵元がそれぞれのクオリティーを競うことが目的でした。この鑑評会で優秀な成績を収めた蔵元から酵母を採集し、それを培養して協会酵母を生み出すなど、吟醸酒の誕生に大きく寄与しました。現在でも、毎年4~5月に開催され、平成19 年度は255 点が金賞に選ばれています。

現代的な手法で造る淡麗タイプの日本酒 醸造用の乳酸を添加して、酵母を育成する酒母の育成方法です。1910(明治43)年国立醸造試験所にて開発された手法で、現在の約90%の酒母育成方法が速醸酛になります。乳酸菌が関与しないので、乳酸菌の副産物の影響がなく、生酛系酒母と比べて淡麗な酒質に仕上がります。

た行

杉樽で貯蔵された清涼な香りが持ち味 主に杉の樽で貯蔵させ、杉の香りが移ったタイプの日本酒です。奈良の吉野杉で貯蔵されたものが特に有名です。現在ではホーロータンクという、貯蔵中の酒に一切の影響を与えないタンクが使用されますが、昭和初期までは杉の桶で貯蔵されるのが普通でした(よって、すべての酒が樽酒でした)。

熟成させることで発揮する日本酒の真価 製造業界では、今年度に造られた日本酒を新酒というのに対し、前年度造られた酒を古酒と呼びます。古酒表示には明確な規定がありませんが、3 年、5 年あるいは10 年、15 年と長期に渡る熟成酒に注目が集まっています。長い熟成を経たタイプは、琥珀色の色調と複雑な熟成香が特徴になります。日本酒の中でも最も高価なタイプに入る商品です。古酒とも言われる。

アルコール度数の低い日本酒の開発に期待 日本酒のアルコール度数は醸造酒の中で最も高く、原酒の状態で18 ~ 20%近くもありますが、現代人のアルコール耐性の低下により、アルコール度数の低いタイプが求められるようになりました。低アルコール酒のカテゴリーに入るものはアルコール度数が12%以下のものが多く、最近では、微発泡性のものや、ワインのようなテイストのものなどが開発されています。

神に捧げる神聖なる酒から、庶民が自家醸造する家庭酒へ どぶろくは濁酒と書きます。よって、にごり酒のことを、どぶろくと呼ぶ場合もあるのですが、その起源は日本酒発祥の頃までさかのぼります。豊作を神様に祈願する時、米から造った貴重な酒を捧げ、そのおこぼれを頂いたのが、日本の飲酒の始まりであり、飲酒の意味でした。このような神事に欠かせない聖なる飲み物がどぶろくだったのですが、時代が進むにつれ、全国の各家庭でも造られるようになり、自家醸造酒というもう1つの意味を持つようになります。しかし、1899(明治32)年、明治政府の政策により、酒が莫大な税金の対象に設定されたため、自家醸造が完全に禁止になり、どぶろく文化は滅亡します。現在では、豊作祭りの一環として全国の神社で行われるどぶろく祭りの中にその片鱗を見ることができます。

華やかな芳香が持ち味の鑑評会向けの特別品 日本酒の搾り方の1つで、斗瓶といわれる18リットルの特殊な瓶に詰められた日本酒になります。袋吊り(ふくろつり)、雫酒(しずくさけ)と 同意語としても使われ、特別な搾り方をした最高級品に分類されるタイプです。非常に華やかな芳香の高いものが多く、金賞、銀賞などのランク付けがされる全国新酒鑑評会に出品される多くはこのタイプです。香りの華やかさを追求した吟醸酒タイプの極みともいえます。

酒造りのすべてを指揮する総責任者 酒造りの職人集団の長を杜氏と呼びます。南部杜氏、越後杜氏、丹波杜氏など、出身地によりいくつもの集団名があります。それぞれの流派で酒造りの方針も異なり、杜氏が変わると味が変わるといわれる由縁になります。現在の杜氏の平均年齢は約65 歳にもなり、これからの後継者の育成が業界全体の問題となっています。

な行

香味共にバランスの取れた採取場所 搾る際に最初に採取する液体をあらばしりというのに対し、次に採取する部分を中取り(中汲み、中垂れ)と呼びます(最後の部分はせめと呼ばれています)。

「西宮の水」の略。特に兵庫県神戸市、西宮市一帯のいわゆる灘地区は、六甲山を水源とする河川の伏流水を指す。リン、マグネシウムが豊富に含まれている一方、鉄分が極めて少ないため日本酒造りに適しています。さらに、この一帯の花崗岩質の濾過効果により不純物が取り除かれること、海に近く適度なカリウムを含んでいることからも日本酒造りに適した水と言われています。日本の水の中では「硬水」に位置付けられ、その日本酒の味わいは辛口となる傾向があることから「灘の男酒」と称されるようになりました。

日本酒は、通常1回から2回加熱して、殺菌処理をしますが、これを1回も行わないのを、生酒という。搾りたてのフレッシュな味わいや香りが特徴的です。

もろみを搾った時だけ加熱殺菌して、出荷されるものを生詰め酒という。

もろみを搾った後、加熱殺菌しないで貯蔵し、出荷時に1回だけ加熱殺菌するものを生貯蔵酒という。

米の風合いが生きた白濁した日本酒 白濁した日本酒をにごり酒と呼びます。搾るときに目の粗い布でこすために米の個体部分が残るのです。酒税法上では必ずこさないと日本酒(清酒)とは呼べないので、清酒表示のにごり酒はわずかでも必ずこされていることになります。最近では、ほんの少し個体部分を残したうすにごり酒タイプが人気で、見た目の印象から霞酒(かすみざけ)と呼ばれることもあります。

は行

瞬間的に熱風をあてて米を加熱する近代技術 原料米を290°Cの熱風で、たった45 秒間程度で加熱処理する手法を焙炒造りと呼びます。瞬間的に加熱することにより、米の中のアミノ酸、脂肪量を最低限に抑え、淡麗でスッキリしたテイストの日本酒を生み出すことができます。近代技術で造られる日本酒の1つです。

江戸時代に始まったアルコール添加の原型 目に見えない微生物相手に経験と勘を駆使して造られていた日本酒造りですが、悪性の微生物が発酵中に入り込み、もろみを腐らせ(腐造といいます)、蔵内の酒が全滅したということも少なくありませんでした。この対応策として、江戸時代にアルコール度数の高い焼酎を加えるともろみが腐りにくいことが発見され、これを柱焼酎と名づけられました。現在でいうアルコール添加の始まりになります(アルコール添加のもともとの目的は、防腐のためでした)。

希少価値の高い一番搾り搾る際、最初に出てくる液体をあらばしりと呼びます。プレスをしないで、酒袋の重みだけで自然に出てくる部分になります。香気成分が高く、少量しか取れないため高価なものが多くなります。あらばしりとも言われる。

日本酒のイメージを一新する発泡酒タイプ 製造用語では「活性清酒」や「発泡性清酒」、通称はスパークリングタイプとも呼ばれる近年人気の高いジャンルで、酒税法上では「醸造酒類」、品目では「清酒」に属します。シャンパン同様瓶内二次発酵方式でアルコール度数が高いもの(開栓時に注意が必要)、同じく瓶内二次発酵方式でもアルコール度数が低くうすにごり状態で甘口に仕上げたもの、炭酸ガスを注入するものなどがあります。また生酒の新酒などで微発泡性のものがありますが、このジャンルには属しません。活性清酒とも言われる。

液化槽内高速撹拌破砕法と呼ばれる日本酒の現代の製法の一つの別名で、液化仕込みと高温糖化法を併用し日本酒製造工程の省力化を目指した技術で、同様な液化仕込技法には融米造りがある。

熟成されてまろやかになった秋の風物詩 春先に出来上がった日本酒を火入れ後一夏寝かせ、日本酒の温度と外気の気温が同じくらいになる9 月頃に、火入れをせずに出荷されるものが冷やおろしと呼ばれます。冷や(=生)のまま、卸す(=出荷する)が語源になっています。別名秋あがりとも呼ばれ、熟成された深い香味が特徴になります。昔の日本酒のほとんどは、このように半年間ほど熟成させて、秋口に出荷することが一般的でした。現在では9 月後半から10 月に出荷される季節限定商品として販売されています。秋あがりとも言われる。

日本酒造りに使われる水のうち、「洗瓶用水」「割水用水」「雑用用水」を指します。

酒造年度と呼ばれる日本酒独自の期間区分 7 月1 日から翌年の6 月30 日までを BY(Brewery Year)と呼びます。例えば、ラベルに15BY と記載されていれば、平成14 年に収穫された米を使用して、平成14 年7 月から平成15 年6 月30 日までに造られた日本酒の場合に、15BY または平成15年度醸造と記載されます(これは製造者が国税庁に生成数量を申告する都合で定められた区分です)。

昔の仕込み方法で古代の酒を再現 各地方に伝わる昔からの仕込み方法や、文献などで記載されている手法を再現した酒を指します。出雲地方の御井酒(ごいしゅ)や地伝酒(じでんしゅ)、鹿児島県の地酒(じしゅ)などが代表で、非常に旨味と甘味が強く、調味料として使用されることも多いです(島根県のあご野焼きや、鹿児島県のつけ揚げなど)。木灰のアルカリ性を利用し、酸を中和させる手法が取られることから、灰持酒(あくもちしゅ)ともいわれます。復古酒(ふっこしゅ)とも言われる。

江戸時代頃から酒造業が盛んとなった京都市伏見区は地下水を指す。この地は、地下水が豊富な場所であり、水質は軟水傾向にあります。これにより、伏見で作られる日本酒は甘口となる傾向があることから「灘の男酒」に対して「伏見の女酒」と称されました。伏見地区の地下水の中でも御香宮神社の境内より湧き出た水は「御香水」と呼ばれ、この御香水が湧く6つの井戸があります。

昔の仕込み方法で古代の酒を再現 各地方に伝わる昔からの仕込み方法や、文献などで記載されている手法を再現した酒を指します。出雲地方の御井酒(ごいしゅ)や地伝酒(じでんしゅ)、鹿児島県の地酒(じしゅ)などが代表で、非常に旨味と甘味が強く、調味料として使用されることも多いです(島根県のあご野焼きや、鹿児島県のつけ揚げなど)。木灰のアルカリ性を利用し、酸を中和させる手法が取られることから、灰持酒(あくもちしゅ)ともいわれます。復元酒(ふくげんしゅ)とも言われる。

酒そのものでもあり、酒母でもある奈良時代の銘酒 奈良興福寺大乗院(ならこうふくじだいじょういん)の末寺、菩提山正暦寺(ぼだいさんしょうりゃくじ)で1440 年代に造られたと文献に残る菩提泉(ぼだいさん)は、良質の奈良酒として世に知られていました。この菩提泉は一回仕込み(一段掛法)で酒にするため、現在でいう酒母そのものでした。この菩提泉は「まず初めに乳酸発酵を営ませ、乳酸酸性の下で雑菌の繁殖をおさえながら酵母を増殖させ、さらにアルコール発酵を促進させたこの手法は、微生物学的にもきわめて巧妙で合理的である」と現代でも称賛されています。具体的には使用米の1割をおたい(飯)に炊き、それを浸漬中の残り9 割の米の中に埋め、このおたいから溶け出した養分によって乳酸菌が増殖するというもので、この乳酸菌の造り出す乳酸酸性水(別名くされもと)を仕込水に使用することによって、雑菌の繁殖を抑えるというものになります(天然の乳酸菌と、酵母も取り込む自然醸法といえます)。現在でも、この手法で酒造りをする蔵が2~3件あります。

ま行

菩提酛をベースに進化させた江戸時代の酒母造りの手法江戸時代の「童蒙(どうもう)酒造記」(貞享4,1687)に記されている古法で、乳酸菌の生酸作用を応用した、主に温暖な季節に適した酒母製造法になります。そのルーツは室町時代の「御酒之日記(ごしゅのにっき)」に記載される菩提泉(菩提酛)とされています。その効用や使用目的、醸造法などは基本的に菩提酛と変わりません。

酒造好適米のひとつで、1978(昭和53)年に長野県で誕生。耐冷性が高く、寒冷地での栽培が可能なため、東北地方でも多く栽培される。酒質は相対的に軽快な香味になりやすいとされている。

「西宮の水」の略。特に兵庫県神戸市、西宮市一帯のいわゆる灘地区は、六甲山を水源とする河川の伏流水を指す。リン、マグネシウムが豊富に含まれている一方、鉄分が極めて少ないため日本酒造りに適しています。さらに、この一帯の花崗岩質の濾過効果により不純物が取り除かれること、海に近く適度なカリウムを含んでいることからも日本酒造りに適した水と言われています。日本の水の中では「硬水」に位置付けられ、その日本酒の味わいは辛口となる傾向があることから「灘の男酒」と称されるようになりました。

日本酒が本来持つ色調と香味特性を残す 濾過作業を行わない日本酒は「無濾過」と記載されます。濾過の目的は、脱色、香味の調整、異臭の除去ですが、濾過をしすぎると必要以上に香味特性(個性)が損なわれるとして、濾過をしない、または少ししか濾過をしないタイプが増えてきました。濾過をした日本酒に比べると、山吹色の色調を残し、香気成分が豊富に含まれることが「無濾過」の特徴とされます。濾過の手法としては、濾過機※を使用する手法と、活性炭を使用する方法があり、両方を行わないものが一般的に「無濾過」とされます(現在、濾過、無濾過に関しては厳密な規定が存在しないため、そのあり方については各蔵元により様々な解釈があります。完全無濾過、素濾過と呼ばれる製法も存在します)。※濾過機にも、精密濾過機、簡易濾過機など、いくつかの種類が存在します。

日本酒造りの中で酵母を培養する工程を酛造り、もしくは酒母造りといいます。さまざまな微生物が関与する工程でもあり、特に乳酸菌から育成する方法、乳酸を添加する方法など大別されますが、速醸酛、生酛、山廃酛、菩提酛、水酛、高温糖化酛などさまざまな手法が存在します。

日本酒製造の基となった造り 現在の日本酒製造の原型で、麹米と掛米の両方に精白米を用いる手法です。その起源は、16 世紀中頃の平安時代、奈良の興福寺で製造されたという説が有力。それまで玄米で仕込まれていた茶色い日本酒から、精白米で仕込まれた白い日本酒、そして濾過して澄んだ酒である清酒へ進化する大きな要因であったといわれます。当時、南都(なんと)(奈良のこと)諸白(もろはく)として高い評価を受けました。

や行

酒造好適米のひとつで、作付面積1位(2019年)。1936(昭和11)年に「山田錦」と命名され、兵庫県の奨励品種に指定される。高精白が可能な心白を持つことから吟醸酒ブーム(1980~1990年頃)の際に一躍有名となる。造り手側からも、酒が高品質になる条件を兼ね備えるほか、意図した酒質に仕上げやすい品種として重宝されている。ただし、稲が倒伏しやすく耐病性も低いため栽培が難しいとされる。

自然界の乳酸菌から育成する濃醇な味わい。生酛(きもと)との違いは山卸し(やまおろし)の作業を行わないこと 生酛(きもと)造りで行われる山卸し(やまおろし)(酛摺り(もとすり)の作業は非常に重労働であり、これを解消するための研究が行われてきましたが、1909(明治42)年に国立醸造試験所の実験で山卸し(酛摺り)を行った酒母と、行わない酒母で、成分的な違いが見られなかったことから、山卸し(酛摺り)の作業は必要ないという1つの推論が発表されました。これにより「山卸し(酛摺り)の作業を廃止する」という認識が広まり、これを略して「山廃」と命名されるようになったのです。これにより「櫂でつぶすな、麹で溶かせ」という言葉が生まれ、麹そのものが持つ糖化酵素の力に注目が集まっていき、生酛系酒母の中の90%が山廃酛に変わっていきます。

白米を液化して仕込む近代技術 通常、蒸米(白米)は固体の状態で仕込まれますが、白米を液状化にして仕込む方法を液化仕込みと呼びます。仕込水とともに白米をミキサーで細かく破砕し、乳白状の液状化にしてから仕込みます。液化造りの特徴は、酵素剤を添加し(麹を使わない日本酒造りといわれます)、加温、撹拌、破砕を行います。低コストで製造できることがメリットとなります。液化仕込みという呼び名もあります。

金賞受賞のためのジンクス Y =山田錦、K =熊本9 号酵母、35 =精米歩合35%を表す略語です。金賞、銀賞などのランク付けがされる全国新酒艦評会に入賞するための秘蔵レシピといわれていました。非常に華やかな吟醸香を生み出すことを目的とした手法といえます。

ら行

わ行