【開催報告】「酒匠」2021/3/27-28,29-30 講習会[2日間コース(東京)]

日本酒・焼酎の卓越したテイスティングの能力を身に付けた、提供と販売のスペシャリストの資格「酒匠」の講習会(2日間コース)を2021年3月27日(土)~28日(日)、29日(月)~30日(火)に開催いたしました。
休日と平日、年に1度の開催となる本資格の講習会に、今回は、両回とも30名弱の唎酒師、焼酎唎酒師の方にご参加いただきました。
会場に足を運んでいただき、ご参加いただきました皆様には深く感謝申し上げます。

酒(さけ)の匠(たくみ)、「酒匠(さかしょう)」とは

「卓越したテイスティング能力を武器にセールスプロモーションを実行することができる」とSSIが認定する資格が「酒匠」です。日本酒や焼酎の製造現場から流通、サービス、消費に至るすべての場面で、現在、約500名の酒匠がその能力を発揮されています。
酒匠は、唎酒師や焼酎唎酒師の範疇を超えるテイスティング能力を磨くため、水溶液を使用した味の要素理解や、香りの表現例の習得などを行い、第三者に正確な情報を伝えるほか、酒の香りや味わいを「視覚化」「数値化」することで、消費者への分かりやすい提案や、自社での商品選定など、販売企画立案力の向上が可能になります。

テイスティング能力を高める、酒匠独自のプログラム(2021年版)

「香りのサンプルを使用した嗅覚トレーニング」/「水溶液を使用した味覚トレーニング」
ボルドーやカリフォルニアのワイン醸造を学ぶ専門機関のノウハウを取り入れた「香りのサンプル」と「水溶液」による嗅覚、味覚トレーニングを行います。
今回、嗅覚トレーニングで使用したサンプルは「46種類」! 出来上がった日本酒から感じ取れる香りを、香りの要因ごと(例えば「酵母(吟醸香)由来の香り」「乳酸(乳酸菌)由来の香り」「熟成由来の香り」etc.)に、分けてトレーニングを行っていきます。酵母(吟醸香)由来の香りには、リンゴ・イチゴ・バナナなどの果実(甘)や、レモン(皮なし)・スダチ(皮あり)などの果実(酸)、ユリ・バラなどの花類、クレソン・穂紫蘇などの(菜類)、火打石などをサンプルを使用しました。

水溶液は、日本酒を構成する味の要素を「甘味」「酸味」「苦味」「旨味」などのジャンルごとに分けて、トレーニングを行います。同じ甘味でも、ワインの原料である葡萄などの果実由来の「果糖」と、日本酒の原料であるお米(でんぷん)由来の「ブドウ糖」では、甘味の質が異なります。同様に、同じ酸味でも「乳酸」は穏やかな酸味なのに対して、「酒石酸」は刺激性が高く爽やかな酸味であるなど、その性質は異なります。ここでは、味わいの基本要素をしっかりと覚えるとともに、それぞれの要素の特徴を脳に記憶させます。そのほかに、「軟水」や「硬水」の比較で、水の硬度によって異なるテクスチャーの違い、アルコールの度数による「苦み」「物理的な刺激」「粘性」などの違いなども確認します。

このような嗅覚や味覚の基礎トレーニングの積み重ねは、テイスティングの能力を高める上で非常に重要な役割を担います。

香味特性別分類とテイスティング結果の視覚化
正しいテイスティングコメントを作るためには、官能評価といわれるあいまいなテイスティング結果を、正しい軸に合わせる能力が求められます。日本酒や焼酎をテイスティングして、味わいと香りのそれぞれ4つの項目を数値化、同軸グラフまたはポジショニングマップに落とし込みます。
唎酒師で行う香味特性別分類以上に高度なテイスティング能力が求められる、テイスティング結果の視覚化は、唎酒師上位資格である「酒匠」の最大の課題となっています。

香りと味わいを数値化した同軸グラフ

原料別・製法別の比較テイスティング
このトレーニングでは原料や製法による香味の違いを探り、判別する、専門的な知識、能力を養うことを目的に行っています。日本酒は全44種類で、「熟成年別」「醸造アルコール添加量別」「酵母別」「精米歩合別」「品種別」「酒母別」「水別」など、焼酎は全36種類で、冠表示ごとでバラエティの豊かさを確認、また、「麹原料別」「麹菌別」「芋の品種別」「熟成年別」などを比較テイスティングを行います。
原料や製法によってことなる香味の違いをしっかりと学ぶことで、現場での「仕入れ」や「販売・提供」の際に、論理的に説明・提案することが可能となります。

料理との相性検証
料理との相性検証は「唎酒師」や「焼酎唎酒師」、また、「日本酒学講師」の講習会でも行う講義ですが、「酒匠」講習会で行うものは、相性の良し悪しだけでなく、「相性理由」を明確に説明できることを目的としております。
上記の講義・トレーニングによって、日本酒や焼酎の香味の要素をしっかりと把握して、なぜ、相性が良いのかを説明できる能力を身に付けます。

信頼の講師陣

北原 康行 氏
コンラッド東京 シニアアウトレットマネージャー/SSI理事/第4回  世界唎酒師コンクール 優勝者
担当講義:「酒匠を目指す方々へ ~求められる酒匠~」

2008年にコンラッド東京へ入社、2012年に同ホテルのアシスタントヘッドソムリエ就任。その後、ヘッドソムリエ、レストランマネージャーを経て、2020年にシニアアウトレットマネージャーに就任、現在に至る。
2012年 唎酒師 取得
2014年 シャンパーニュ騎士団 叙任
2014年 第4回世界唎酒師コンクール 優勝 

薄井 一樹 氏
株式会社せんきん 十一代蔵元/SSI 常務理事
担当講義:「原料、製法別テイスティング」

「古くて新しいものづくり」をモットーに、伝統的な木桶仕込み、生酛造りを現代に再現する創業1806年の酒蔵「仙禽(せんきん)」の十一代蔵元。
家業である酒蔵の立て直しのため、2003年に実家へ戻り再建を図る。当時、20石であった生産量を、10年間で2000石へ成長させるほか、伝統的な酒造りへ回帰。超自然派日本酒を筆頭に、原料米のドメーヌ化を実現し、「世界基準」の日本酒を目指している。

圓子 千春 氏
インフィニット・酒スクール 専任講師 兼 プロデューサー/FBO公認講師
担当講義:「日本酒と料理との相性体験」

レストランでサービスと調理経験を積みながら、海外や日本国内にて研修、訪問を重ね自己研鑽に励む。
また日本酒コンクール審査員や、日本酒イベントの企画運営、執筆、メディア出演など活動の場を広げている。
現在、日本酒を科学的に教える「インフィニット・酒スクール」のプロデューサー、「産業能率大学」においてガストロノミ講座を担当。

友田 晶子 氏
一般社団法人日本のSAKEとWINEを愛する女性の会 代表理事
トータル飲料コンサルタント/SSI理事/SSI INTERNATIONAL 副会長
担当講義:「焼酎と料理との相性体験」

焼酎、日本酒、ワイン、ビールなど飲料全般に関するセミナーや執筆、PR活動を業界30年のキャリアと女性の視点から行なう。また日本料飲ビジネス研究会会長として、全国の宿泊施設・飲食店向けにコンサルティングや地域活性事業も手掛ける。インターネット情報サイト“All About”にて酒と食のガイドを務める。著書に『世界に誇る品格の名酒』(ギャップジャパン)、『今宵も一杯』(CCCコミュニケーションズ)など多数。「球磨焼酎大使」「ふくい食のアンバサダー」。

長田 卓 氏
NPO法人FBO研究室長/SSI理事 兼 研究室長
担当講義:「基礎テイスティング」「香味特性別分類およびテイスティング結果の視覚化」他

酒類、食品類の調査研究を担当。唎酒師、焼酎唎酒師、酒匠、日本酒学講師などの各種講習会において、主にテイスティング部門の講師を務め、年間で2000近い唎酒を行う。FBO各テキストの編集委員を務めるほか、主な著者に『至福の純米酒100選』(洋泉社)、主な監修、編集協力として『退屈知らずの酒読本 本格焼酎編』(青春文庫)、『日本酒手帳』『焼酎手帳』(東京書籍)などがある。

参加者の声

本年度の講習会の参加者からさまざまなご意見を頂戴しましたので、一部抜粋してご紹介いたします。
・ボリューミーな内容と講習時間ですが、スタッフの皆様の支えもあり、なんとか集中力を保ち受講できました。
 知識は得たので次は自分の感覚磨きを頑張ります。ありがとうございました。よい(良い・酔い)二日間でした!
・2日間お疲れ様でした。お陰様で知識と見識が広まりました。しっかり身に付けて、日本酒、焼酎の裾野を広めたいと思います。
・非常に充実した内容でした。酒匠試験に向けて、自分の弱点を認識出来たこと、多種類の香材や酒類のサンプルを比較検討できたこと、劣化を正しく判定出来るようになったこと、他にもとても多くの学びを得られました。
・香りのサンプルや水溶液を用いたトレーニングはとても役に立ちました。また、垂直、水平にこれだけ多くのテイスティングをできる機会はまず無いので、非常に素晴らしい体験となりました。ただ、受ける前からは相当にレベルアップしたとは思えど、どこまでテイスティング能力が向上したのか不安も多く残ります。

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