「大学4年の時、バイクの事故で脳を激しく損傷したのですが、たまたま現場に救命救急士が居合わせたことが幸いし、奇跡的に回復しました。私も人のために役に立つ仕事がしたいとの思いが強くなり、福祉の仕事に就いて、生活保護者や路上生活者の自立支援に13年携わってきました。家業を継ぐようにと親から言われたことは一度もありませんでしたが、いつかは事業継承をと考えていました。家族の高齢化や店の売り上げの低下を肌で感じ、やるなら今だと」最初に取り掛かったのは棚の配置で、ゆとりを持たせて入りやすいようにし、更に角打ちコーナーを設けました。缶詰や乾き物などの商品をつまみに、時には千惠子さんが作った夕飯のおかずをおすそ分け。親しみのあるサービスが功を奏し、今では隣の倉庫スペースにも角打ちがあります。昔ながらの御用聞きも続け、これが高齢者の見守りに一役買っています。