岩田 謙一 さん(岩田屋商店 )

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1982年生まれ。
社会福祉士を経て、2019年家業に入るため唎酒師の資格を取得。

「わ」のある酒屋で地域の活性化に貢献したい

 東京の下町、墨田区東向島4 丁目の大正通り商明会に、昭和10(1935)年開業した「岩田屋商店」。海産物問屋から始まり、当初は乾物などの食料品が多かったそうで、今なお、昆布やはかり売りの味噌、卵、梅干しなども店内に並んでいます。高度成長期には近くの町工場の影響で栄え、初代の岩田幸一氏、二代目の雄次郎・千惠子夫妻と雄次郎氏の姉の訓子さんが中心となって切り盛りしてきました。そして、2019年春より三代目を継ぐべく店に入ったのが 1982年生まれの謙一氏です。

東武スカイツリーライン東向島駅より徒歩3分、
隅田川と荒川の間の三角地帯にある。
昭和 27 年頃の店舗写真。

「大学4年の時、バイクの事故で脳を激しく損傷したのですが、たまたま現場に救命救急士が居合わせたことが幸いし、奇跡的に回復しました。私も人のために役に立つ仕事がしたいとの思いが強くなり、福祉の仕事に就いて、生活保護者や路上生活者の自立支援に13年携わってきました。家業を継ぐようにと親から言われたことは一度もありませんでしたが、いつかは事業継承をと考えていました。家族の高齢化や店の売り上げの低下を肌で感じ、やるなら今だと」最初に取り掛かったのは棚の配置で、ゆとりを持たせて入りやすいようにし、更に角打ちコーナーを設けました。缶詰や乾き物などの商品をつまみに、時には千惠子さんが作った夕飯のおかずをおすそ分け。親しみのあるサービスが功を奏し、今では隣の倉庫スペースにも角打ちがあります。昔ながらの御用聞きも続け、これが高齢者の見守りに一役買っています。

酒類は各ジャンル揃えるが主体は日本酒。食品が豊富で、「他でも買える塩一袋のためにあえてうちに買いに来てくださる方がいる、それが本当にうれしいですね」。SNSでの情報発信も日々行っている。
人気の高いはかり売りの味噌 3 種類、初孫酒 造の酒粕、日高昆布。
入り口をはさんで左右の窓沿いに設けた、試飲目的の角打ちコーナー。150㎖1杯280〜420円または60㎖2種300 円、常時8〜9種類ある。

また、隣駅の鐘ヶ淵は墨田区の中でも特に高齢者が多くスーパーがなくて買い物に不便なため、他の業態の店舗と協力して土曜の朝に市場を開くといった活動も積極的に行っています。
「街の酒屋が起点となって、みなさんを環のようにつないでいき、中心には話・和・笑があるような店作りがしたいです。そして、シャッターが増えた商店街や元気がなくなった街を元気にしたいですね」
 取材時、子連れのお母さんが角打ちで会話を楽しんでいるのが印象的でした。

岩田屋商店

東京都墨田区東向島 4-43-6
☎︎ 03-3611-6917 
https://www.facebook.com/iwataya.sumida/
9:00〜21:00(日祝は11時~夕方)
無休 

「2020年9月現在」

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