日本酒の香味特性別分類(4タイプ)

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●SSIが考案! 日本酒のビギナーにも分かりやすい画期的な香味分類

「気軽に日本酒を楽しみたい」「日本酒と食事を楽しみたい」という日本酒のビギナーには、日本酒の醸造法や法律について詳しく説明してもあまり興味を持っていただけないでしょう。

かといって、ラベルを見ても中身の分かりにくい日本酒のことですから、日本酒に詳しい人からのかみ砕いたアドバイスがなければ、日本酒の本当の魅力を知ることなく、日本酒から離れてワインやほかの酒に移ってしまうこともあるのではないでしょうか。
日本酒の味わいをビギナーに解説する場合でも、「辛口か甘口」「淡麗か濃醇か」だけの表現では、奥の深い日本酒の魅力を十分に伝えることはできません。
ですから、日本酒ビギナーの方にとって、もっと分かりやすい香味の分類が必要となるのです。そこで、SSIでは20,000種類以上の日本酒のテイスティングを行うことにより、香りと味わいの組み合わせで、日本酒は大きく4つに分類できることを実証しました。これが「日本酒の香味特性別分類(4タイプ)」です。

 

◎薫酒 香りの高いタイプ
香味の特徴

甘い果実や花のようなフルーティーな香りが特徴。味わいは比較的軽快なものが多く見られます。
該当する日本酒
主に「大吟醸酒」や「吟醸酒」と表記されたものが該当します。ただし「純米酒」や「無濾過生原酒」など吟醸酒表記がなくても、フルーティーな香りを生み出す「吟醸酵母」を使用したものは、薫酒に該当する場合があります。

◎熟酒 熟成タイプ
香味の特徴
黄金色などの色調、ドライフルーツやスパイスに例えられる熟成香、とろりとした飲み口と濃厚な味わいを持った、個性的な日本酒です。
該当する日本酒
「古酒」「長期熟成酒」と表記されたものが主に該当。純米酒や吟醸酒といった特定名称酒の種類にかかわらず、3年以上(特に10年以上)熟成させたものが典型的な熟酒となります。

爽酒 軽快でなめらかなタイプ
香味の特徴
日本酒としては最も軽快な香味で、すっきりとした飲みやすさが特徴。「淡麗」などと表現されることが多いタイプです。
該当する日本酒
主に「普通酒」「本醸造酒」「生酒(または生貯蔵酒)」と表記されたものが該当します。新潟県産や北海道産など、淡麗な日本酒造りをコンセプトにする地域で多く見られます。
◎醇酒 コクのあるタイプ
香味の特徴
米の酒ならではの旨味やコクを感じさせる香味。「ふくよか」という表現がぴったりのタイプです。
該当する日本酒
 主に「純米酒」、特に「生酛」や「山廃酛」と書かれたものが典型的な醇酒となります。また「無濾過生原酒」といった香味要素の多い日本酒や、アルコール度数が高い「原酒」などでも該当するものがあります。

 

●日本酒のサービス温度の表現方法

日本酒の提供(飲用)温度に対する表現は実にたくさんあります。例えば、冷蔵庫のなかった時代は、燗酒以外を「冷や」と呼んでいたので、その時代の「冷や」とは冬場は5°Cくらい、夏場は25°Cくらいでした。けれども、現在では冷蔵庫で冷やした10°C前後の温度を「冷酒」とも呼んだりします。一方、冷蔵庫で冷やした温度を「冷酒」と呼び、冷蔵庫に入れないものを「冷や」と呼ぶケースが出てきました。

●4タイプ別 適した飲用温度例

日本酒の個性を生かすために非常な大切なのが温度設定です。 日本酒は他の酒類と比較すると、飲用温度帯の幅の広さが持ち味ですが、それでも4タイプ別に適した温度設定で飲めば、より一層日本酒の魅力を感じられるでしょう。

◎薫酒 香りの高いタイプ
冷やしすぎるとフルーティーな香りが感じにくくなり、温度が高すぎると軽快ですっきりした味わいが損なわれます。よって、10〜15℃が薫酒の理想的な温度になります。

◎爽酒 軽快でなめらかなタイプ
すっきりとした香味の爽酒は、冷やすことでより美味しく感じられます。4タイプの中では最も冷たい温度帯となる5〜10℃が理想。ただし、通酒や本醸造酒規格のものは45〜50
℃位の燗酒に向くものもありますので、キリッとしまったドライな熱燗を好む人にはおすすめです。

◎醇酒 コクのあるタイプ
持ち味である旨味やコクを引き出すには、冷やしすぎないこと。18〜20℃、常温に近い温度帯が醇酒の理想です。また、ぬる燗にも向いています。温めることで活性化する旨味をじっくりと嗜む。これぞ、醇酒の飲み方の真骨頂!

◎熟酒 熟成タイプ
 熟酒の中でも、軽快な香味のものはやや低めの温度帯、重厚な香味のものはやや高めの温度帯が好ましく、15〜25℃が熟酒の理想といえるでしょう。また、人肌に近い35℃前後で楽しめる熟酒もあります。

●4タイプ別 適した酒器

◎薫酒 香りの高いタイプ

ポイントは何といっても、フルーティーな香りを引き出す形状を選ぶこと。ワイングラスなど湾曲性の高いものや、上に広がったラッパ型が適しています。

◎熟酒 熟成タイプ

熟酒は琥珀のような色調の映える透明グラス、白の磁器、または内側が金塗りの漆器などが好ましいでしょう。さらにドライフルーツやスパイスのような複雑な熟成香を生かすなら、ブランデーグラスのような極端に湾曲性の高い形状が理想です。ただし、小さな酒器でも十分に感じられる香味を持つので、初めて飲む人にはショットグラスなどが良いかもしれません。

◎爽酒 軽快でなめらかなタイプ

しっかり冷やして飲む爽酒は、温度が上がらないうちに飲みきれる小振りな酒器が合います。また、軽やかで、なめらかな味わいを生かすことを考えるとフルートグラスもグッド。さらに、爽酒の爽やかな印象を強調するには、切子など涼やかに装飾された酒器がぴったりです。
◎醇酒 コクのあるタイプ

日本酒らしい旨味とコクを持った醇酒は、イメージ的にも、陶器や磁器製の酒器がふさわしいでしょう。また、濃醇な味わいを生かすことを考えると、大きな形状、口径に厚みのあるものが理想的。ワイングラスならボルドー型グラスがふさわしいです。


 

●4タイプ別 相性の良い料理の一例

◎薫酒 香りの高いタイプ
「華やかな香り」「清涼な風味」「やわらかな甘味」を持つ料理を選択するのが理想。フルーティーな香りに合わせ、柑橘類を添える料理、また果実そのものを使用した料理がさらに同調するでしょう。食前酒的飲用に適するので、前菜系料理との組み合わせを考えるのが現実的です。
  
(左から)タコのマリネ香草風味、フレッシュチーズとフルーツトマトのサラダ、白見肴の刺身 スダチ添え

◎熟酒 熟成タイプ
熟酒は、非常に濃醇な味わいを持つため、料理を選ぶ傾向にありますが、他のタイプでは合わせられないような「風味の強い料理」「油脂成分の多い料理」「深く煮詰めたり、焦げ味をつけた料理」「スパイスを効かせた料理」「熟成したチーズ」などと同調します。また、濃厚な甘さを持つデザート類とも同調するので、食後酒としても楽しめます。
  
(写真左から)酒盗、豚肉と大根の煮物、ミックスピザ
◎爽酒 軽快でなめらかなタイプ
シンプルな香味の爽酒は、料理との相性の幅が広いことが特徴ですが、「軽快な旨味」「淡い味つけ」「爽やかな風味」を持つ料理と同調させるのが理想。
同調以外では、味わいの濃厚な料理や油脂成分の多い料理を食べた後、口の中をすっきりさせるためのウォッシュ、リセット効果を求めるという手もあります。


  
(写真左から)冷製パスタトマトバジルソース、野菜のテリーヌ、冷や奴
◎醇酒 コクのあるタイプ
「豊富な旨味」「濃厚な味つけ」「適度に効いた塩分」を持つ料理などを合わせるのが理想。また、乳製品的な要素を持つ醇酒は、チーズやバターを使用した料理とも同調します。さらに、食中酒としてだけでなく、酒の肴とも好相性を示すのが醇酒。イカの塩辛、カラスミ、コノワタなどの珍味類とのマッチングもおすすめです。

  
(写真左から)麻婆豆腐、パルミジャーノ・レッジャーノ、ウナギの蒲焼き

 

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