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日本酒の醸造工程は、大きく「原料処理」「製麹」「酒母(酛)造り」「醪造り」の4つに分かれます。それぞれの工程を見ていきましょう。
日本酒の原料である米は、生のままでは使用できません。いくつかの原料処理を施す必要があります。この原料処理では特に「精米」と「蒸し」がポイントになります。玄米の表面を削り取るのが「精米」です。日本酒用の米は30%以上も削ります。「精米歩合」とは、精米後に残った米の割合のことです。
精米を終えると、冷暗所で冷やします。その後洗米し、水に漬けます。次に蒸し、外気で冷まします。この蒸米は、「麹米」と「掛米」に分けられ、一部は「酒母用米」としても使用されます。
原料処理の次は、麹を造る「製麹」を行います。「一麹、二酛、三造り」と言われるくらい、重要な工程です。製麹の一番の目的は、麹菌を利用して、米のデンプンを糖分に変える糖化酵素を供給することです。麹は約48時間をかけて出来上がります。麹に繁殖する麹菌の密度により、酒質に違いが生じます。
酒母造りは酛造りとも呼ばれます。まず小さなタンクに蒸米(酒母米)と麹(酒母麹)、水を入れます。酵母の培養に都合がよいように、タンク内を酸性に保ちます。酸性に保つには、蔵内の乳酸菌を取り込む方法「生酛系酒母(生酛)」と、液体の乳酸を加える方法「速醸系酒母(速醸酛)」があります。
タンク内が酸性になったら酵母を加えます。酵母によって日本酒の香りや味わいが異なります。酒母は約2~5週間で完成します。
これまで造ってきた蒸米、麹、酒母を1つの大型タンクに移し、本格的なアルコール発酵(醸造)を行います。これを「醪造り」と呼びます。
原料の投入は、4日間で3回に分けて行われ、これを「三段仕込み」と呼びます。「初添え」「踊り」「中添え」「留添え」などの工程を経て、タンク内で「糖化」と「アルコール発酵」が同時に行われ、醪が完成します。醪完成後、醸造アルコールを添加する場合があります。
参考:『酒仙人直伝 よくわかる日本酒』(発行/NPO法人FBO)
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