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日本酒の起源は、およそ2000年前で、弥生時代から飲まれてきました。長い歴史の中で、日本の風土に合わせた独自の製法が編み出され、また大陸から伝来した文化や技術の影響を受けて進化し、形を変えながら現代まで伝承されてきたのです。日本酒の歴史を紐解くことは、日本の伝統文化や日本人が大切にしてきた美意識を理解することにもつながります。はるか昔、日本酒は神聖な捧げ物であり、薬でもありました。日本酒がどのように誕生したのか、思いを馳せてみましょう。
日本で初めて誕生した酒は、縄文時代のワインだといわれており、日本酒造りが始まるのは稲作が伝来した弥生時代以降のことです。3世紀に書かれた『魏志倭人伝』からは酒が神事と深く関わっていたことがわかります。また、神事に関わるさまざまな仕事は巫女が担っていたので、酒造りも巫女の仕事であったと推測されています。
『大隅国風土記』(713 年以降)の中には、生米を噛んで酒を醸す「口噛みの酒」のことが記されています。日本酒を造ることを「醸す」といいますが、その語源は、口噛みの「噛む」に由来するようです。
『古事記』『日本書紀』『万葉集』『風土記』の中で日本酒は、キ、ミキ、ミワ、クシなどと呼ばれ、古代、酒は薬として扱われていたこと、酔うという感覚を不思議がっていたことがうかがえます。酒の神を祀る神社は全国に存在し、京都の「松尾大社」、奈良三輪山の「大神神社」などが有名ですが、そのルーツは「佐香神社」にあるとの説が有力です。
どぶろくは「濁酒」と書きます。醪の混じった状態を濁醪(だくらう)と呼んでいたのが訛って、どぶろくになったといわれます。古代では、貴重な米から造った酒の漉した部分だけを飲むなどできなかったので、米粒がたくさん残った状態こそが普通だったのです。どぶろくこそが日本酒の原点であることを覚えておきましょう。
『古事記』によると、麹による酒造りは、中国より伝わったとされていまが、その一方で、麹による酒造りは日本独自に開発されたという説もあります。日本・中国発祥説のどちらが正しいのかと想像してみることも、日本酒を楽しむ物語の一つとなるでしょう。
参考:『酒仙人直伝 よくわかる日本酒』(発行/NPO法人FBO)
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