日本酒のための「米」
米とは、稲の果実にあたる部分のことです。起源は東南アジアや中国雲南省あたりで、日本には縄文時代から弥生時代にかけて伝来しました。日本酒の原料になる米は、特別な品種を特別に栽培されたものが使われており、一般的な食用米とは異なります。
稲の種類と米の種類
日本人が一般的に食べる稲と日本酒の原料に使われる稲は、アジアイネに属するジャポニカ種です。
日本酒用としての特別な検査基準をクリアした米は「酒造好適米」と呼ばれます。
酒造好適米の特徴
日本酒用としての特別な検査基準をクリアした米は「酒造好適米」と呼ばれます。酒造好適米は粒が大きく、心白と呼ばれる白濁した中心部分があり、タンパク質と脂質が少なく、水を吸いやすいものが良いとされています。酒造好適米は厳しい栽培条件と高度な栽培技術が必要とされるので、高価です。

代表的な酒造好適米の品種
酒造好適米に指定されている品種は、現在100種類近くありますが、最も生産量が多い品種は「山田錦」で、それに次ぐ「五百万石」と合わせると、作付面積の約60%を占めます。その他、「美山錦」「雄町」「秋田酒こまち」などの品種があります。
日本酒の成分の約80%は水。そして、日本酒造りには使用する米の30~50倍もの水を必要とするので、蔵元は優れた水質が確保できるところにあります。
酒造用水の条件と日本の水の性質
日本酒造りに使用される水は「酒造用水」(通称・仕込み水)と呼ばれます。酒造用水の条件は「鉄分が少なく、カリウム、リン、マグネシウムを適量に含むこと」です。日本では川が短く、雨が多いため、ミネラルを含有する時間が少なく、世界の水と比較すると軟水傾向です。
京都市伏見などの軟水で仕込まれた日本酒は、すっきりとしてやわらかな飲み口となり、兵庫県灘のように中硬水で仕込まれた日本酒は、しっかりとしたボディと厚みのある飲み口になるとされます。
「灘の男酒、伏見の女酒」という言葉が江戸時代からるように、水が日本酒に与える影響は当時から知られていたのですね。
参考:『酒仙人直伝 よくわかる日本酒』(発行/NPO法人FBO)
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